プラスチックvsアルミニウムのスノーシュー
2009 年 3 月 11 日スノーシューの歴史をテーマにした前の投稿では、北米に渡った入植者がスノーシューを持って帰り、山に適応する形に変更したという話をしました。そのため、現在、二つの種類のスノーシューが売られています。北米のアルミニウムのフレームのスノーシューと、もう一つはフランスのプラスチックのフレームです。今回の投稿ではその二つの種類を比較してみたいと思います。
北米vsフランスのスノーシュー
起伏が穏やかで、雪が深くて冷たい北米では、雪の中に沈まないようにスノーシューは長く、幅の広いものでした。1960年代の製造業者は新しい材料を使い、アルミニウム管フレームとネオプレンのデッキの革新的なスノーシューを製造しました。

フランスでスノーシューは、起伏がもっと激しく、斜面の向きにより雪の状況(パウダースノー、凍った雪、湿った雪)がよく変わる山で使われています。細くて小さくて、グリップ力のあるスノーシューが必要でした。それに応えるため1990年代、フランスの製造業者はプラスチックのフレーム、足のプレート、スパイクでできたスノーシューを製造しました。

異なったスノーシュー、異なる使い方
つまり、アルミニウム管のフレームとネオプレンのデッキのスノーシューは平坦に近い土地で深いパウダースノーの中を歩くためにできたのです。
グリップ力がまったくないアルミニウム管に比べ、プラスチックのスノーシューのグリップ力は抜群です。その上にスパイクが付いていて、アイスバーン、トラバースの際にも安定して通ることができます。つまり登山に適するスノーシューなのです。
アルミニウム管フレームのスノーシューの下にもしっかりスパイクが付いているので、登山にも利用できるとでは、と思う人もいるかと思います。しかし、プラスチックのスノーシューのフレーム自体がグリップ力があるに対し、アルミニウム管は斜面に置くと下まで転がってしまいます。アルミニウム管スノーシューのグリップ力はスパイクにしかありませんが、登山用のプラスチックのスノーシューの場合にはフレーム自体とスパイク両方にグリップ力があります。使ってみれば分かるのですが、スパイクにしかグリップ力が無いと駄目なのです。日本には急峻な山が多いのに、アルミニウム管フレームのスノーシューを利用する人が一般的です。しかしよく見ると、グリップ力が足りずに、スノーシューが滑ってしまうことが多いのです。好みや快適性の問題ではなく、安全性の問題です。
MSRのLIGHTNING ASCENTTMはアルミニウムのスノーシューですが、アルミニウム管ではなくバーチカルブレードのフレームなので、グリップ力は充分であろうと思われます。

グリップ力は充分だと思いますが、アルミニウムのフレームのスノーシューには他の問題があります。山で使うと長持ちしないという弱点もあります。このスノーシューは、アルミニウムのフレームとネオプレンのデッキの二つの部分がくっついてできています。急斜面で利用すると、ネオプレンのデッキとアルミニウムのフレームのビンディングが、強く引っ張り合う力が発生しビンディングが壊れてしまいます。プラスチックのフレームではそういう問題が起こりません。
「 プラスチックのフレームのスノーシューは固いからトラバースの時、足首が曲がってしまいます」という人がいるかもしれません。しかし山で足首が少々曲がるのはどうしようもないと思います。アイゼンでトラバースする時にも、12本のスパイクが雪に入るように歩かないと危険ですから、どうしても足首を曲げることになります。
どれを使えばいいですか?
ここで言いたいのは「フランスのスノーシューのほうが北米のスノーシューより優れている」ということではなく、「異なる地形、目的のために作られたのだから、使い方を区別しよう」ということです。
- 平坦に近い土地で深いパウダースノーの中を歩くなら、アルミニウムのスノーシューのほうが快適です。
- 山では安全のため、プラスチックのスノーシューを使ったほうが良いです。
平坦に近い土地で深いパウダースノーの中を歩くのには、プラスチックのスノーシューを利用できますが、場合により快適ではなく、もっと大変になる事もあります。逆にバーチカルブレード以外のアルミニウムのスノーシューを山で使うのは止めたほうがいいと思います。前述したように、好みや快適性のためではなく、安全のためです。
ここで疑問があがってきます。どうして急峻な山が多い日本のメーカ、モンベルは急峻な山に適応しないアルミニウム管フレームのスノーシューばかり製造しているのでしょうか。私にはさっぱり分かりません。



