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オックスファム・トレイルウォーカー・ジャパン2010

 カテゴリー: 山行記録

オックスファム・トレイルウォーカーは世界各国でオックスファムというNGOによって企画されている4人1組のチームによる(チームで歩き、ゴールに到達する必要がある)100キロのウォーキングである。スポーツ・イベントだが、同時に世界中でこの組織が手掛けている協力活動のための資金を集めるための口実にもなっている。日本での開催にあたっては各チームが最低12万円を集めなければならない。一番にゴールしたチームが優勝するのではなく、最も多くの資金を集めたチームが勝つのだ。従ってこのレースの精神はそれほど競争に集中しておらず、雰囲気も通常のレースよりも楽しげである。だからと言ってそれが最高のタイム記録に挑戦することの妨げにはならない。

日本でのイベントは箱根の山々を越え、富士山の麓の山中湖に至るコースで、制限時間は48時間である。コースの面白いところは競争と山が多いだけでなく、特に旧東海道や箱根関所を通る歴史的なものでもある。

ベルギーチームの中に紛れ込んだ我々の目的はとにかく完全なチームのままでレースを踏破することだった。

金曜日

小田原駅 7:45
小田原駅に到着。ウォーキングの装いでスーツ・ネクタイの会社員達に囲まれているのはちょっと奇妙な気分だ。しかし自分一人ではない。4人組の174チームが参加するのだ。全く違った道を行く二つの世界がそこですれちがう。我々の世界は最初に城山競技場に赴く。そこでスタートの登録をすることになっている。

registration

スタート 9 :00〜9 :30
最初の100チームが雨(その日1日やまなかった)と熱烈な応援の中9:00にスタートをきる。
何週間もかかった準備と資金集め、そのうえ1時間待ったあとでスタートの時間が来る。解放感と、楽しさ、興奮した気持ちで第二弾のグループと共にスタート。まだ先に待ち受ける喜びも苦しみも知らない!

starting lineready to start

第1区間、1キロ
ルートを外れて山道に挑む。400人がぬかるみの道を通り過ぎて行ったばかりだ。その結果泥の中を歩くこととなる。なんと素敵な始まり方!

first stepsstage one 1stage one 2stage one 3

しかし阿弥陀寺へ下りてゆくところで彼らなりのやり方でこの区間を愉快にしてくれた面白いサポーターたちに遭遇。

friendly supporter 3friendly supporter 1friendly supporter 2

9キロ
泥野原になった最初のチェックポイントに到着。チームメート達の靴の写真を撮ることにする。本当に汚い。しかしチェックポイント4と5の間で待ち受けていることを予め知っていたらこんな光景では驚きもしなかったことだろうに!雨の中でスープを食べただけで、また第二の区間へ出発する。

shoes at Chekpoint 1Chekpoint 1Amidaji

第2区間、18キロ
700メートルほどの標高差のある上りの後、平坦に見える道が続き、相変わらず雨の中を2番目のチェックポイントに到着する。まだ花をつけた数本の桜の木だけが風景に彩りを添えている。18キロを終えただけなのに既に惨めなことになってきた。踝まで泥に浸かり、そのうえ体は濡れて凍えている。しかし幸いなことにちょうどそこにチームサポートがいてくれた。喜んで乾いた暖かい服に着替える。もう役に立たなくなった古いゴアテックスのジャケットを脱ぎ、コースの終わりまで乾いた状態に保ってくれる新しいのに取り替える。

Cherry blossom at stage 2

第3,4区間、36キロ
キロにキロを重ね、芦ノ湖の周囲を回った後19:55にチェックポイント4に到着する。最も長い区間に挑む前にストレッチングのサービスが使える。しかし仲間の誰ひとり、ゲートルと泥だらけの靴を脱いで筋肉をストレッチしてもらいに行く元気のある者はいない。というよりそのあとでまた靴を履きなおす元気が絶対ないことを知っているからだ。誰もが不機嫌になって早くチェックポイント5に着き、コースの中間点を越えたのを待って休みを取るのを待つ方がいいと思っている。食べものを補給した後、グループの大多数の前を切って再び出発する。

food at Checkpoint 3Hakone Historical Chekpoint 1Hakone Historical Chekpoint 2stage 4 - Ashinoko lake

第5区間、54キロ
この約+600・-800メートルの標高差のある18キロはこのウォーキングの中で最も長い区間だ。夜になり雨の中で、この区間は苦しいものだった。山道は何とも惨憺たる状態だ。所々で脛まで泥にのめり込み、上りも下りも同様に滑ってばかりいる。上りでは前に二歩進み後ろに一歩グリサード、また前に二歩行って後ろにグリサードといった具合でかなり疲れるものだ。しかしどちらかというとこの区間は好きだ。夜、疲労感、努力そしてコンディション…すべての要素が調和して混じり合い、壮大で忘れがたい区間を創りだしている。

first night - abstract art 1first night - abstract art 2

グループの先に出発したので、大部分のチームよりも2時間少ないタイムで区間を終えることになる。大雄山最乗寺のチェックポイント5に朝2:46に到着して、そこから出発する前に4時間の睡眠をとる。入口にはどれも泥だらけで区別のつかない靴の山という奇妙な光景。

Everybody's shoes at Checkpoint 5Everybody's shoes at Checkpoint 5

明け方には自分の靴をまた見つけるために試し履きごっこをする羽目になる。
「サイズ41のモントレイルの青いのを探しているのだけど…」
「ここには青い靴なんてないよ。あるのは茶色ばかりさ。」
休憩室には到着、出発、そして何とか睡眠を取ろうとするウォーカーたちが入りまじってにぎやかな混乱ぶりだ。

Chekpoint 5 resting room

土曜日

第6区間、63.5キロ
寺を出発するのは8:40。

Daiyuzan-saijoji 1Daiyuzan-saijoji 2

雨は止んだ。しかし森の多いルートの最初の9.5キロではいくつかの茶畑を通り抜けるとはいえ、大して面白いものではない。

Going through tea fields

チェックポイント6で食料の補給を受けたあとで、最も困難な区間に立ち向かう。疲労は溜まっているうえ、最後の区間は一番長く、標高差もきつくて坂もコースの中で最も険しいものとなっている。

第7区間、79.5キロ
600メートルの上り、そして16キロをさらに行き、ついに16:03にチェックポイント7に着く。ゴールに着く前に一つでは済まない頑張り。長い休息を取って眠ってから富士山の麓に日の出と同時に着く方がいいか、それとももっと早く出発して早い時間に終えるかどうか迷う。その間を取ることにする。2時間休んでストレッチング・サービスを受けることにし、チェックポイントの温泉で風呂に入る。温泉でくつろげるレースというのも珍しいから利用することにする。新しい足で再出発というわけには行かないが、ストレッチングと風呂は真にリラックスできる。

第8区間、93キロ
18:18に出発して山での第二夜が始まる。ここで最も標高差の激しく最も険しい上り道をまず不老山へそしてコース内で一番高いピークである湯船山へと登らなければならないという時になって眠気を感じ始める。ときおり立ち止まったらその場で眠りこけてしまうのではと感じさえする。
ゆっくりとしかし確実にいくつもの上りと下りを繰り返してチェックポイント8に23:20に到着。山の二つの側面の間にあるパーキングの中のほんの小さなチェックポイントではストーブで暖房されたテントが用意されている。外は既に氷点下になっている。ストーブの近くに座ると、出発の準備をするよりもそのまま眠り込んでしまう誘惑に駆られる。

Ceckpoint 8

日曜日

ゴール、100キロ
一日中曇っていた空は今では晴れ、最後の7キロを終えるころにはほとんど満ちた月が星空に懸かっている。三国山を過ぎて最後の頂である明神山への上りに挑むとき、木々がなくなり後方に富士山の壮麗な山塊が夜の中、山中湖の明かりの上に浮かび上がる。ゴールの素晴らしい光景だ。

Even the camera was tired

日曜の朝2:57にゴールに着くと、あとは東京に戻りベッドに潜りこみ、ヒーターに感謝するだけ。

博愛精神に基づいてフレンドリーであると同時にスポーツ的にも美しいイベントだった。参加した174チームのうち半数以上が途中で断念し、また完全なゴールを達成したものは更に少ない。我々は41時間27分で完全踏破した41位のチーム。この長いウォーキングを共に果たしたチームのパートナー、ナタリー、ベンとヤンに、そしてその存在無しにはイベントが成り立たなかったボランティアの人々すべてに、それからチームを待つといういちばん難しい役目をはたしたサポートチームにももちろん感謝している。

さて来年は?
それを決心する前にイベントについての意見を述べたい

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