雪崩をくらって、日帰りで無酸素でK2

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カテゴリー: 山行記録, 百名山

東京からの夜行バスの旅で、土曜の朝にはゴールデンウィークの最初の長い週末を過ごしに上高地に来ていた。雪が激しく降っていた。まるで真冬のようだ。高い所では50センチの積雪が予想されていた。この3日間の我々のプランはいっぱいに詰まっていた。初日明神岳東稜バットレスまで登り、2日目には頂上まで登る。そして前穂高岳と奥穂高岳へと続けて2日目のうちに涸沢に降りる。前穂高岳と北尾根を登って13時45分のバスに乗るため上高地に戻る、というものだ。ぐずぐずしている時間はない。

当然のことだが上高地までのルートのオープンと最後の雪のために登山者、スキー客、ハイカーそして向う見ずなツーリストで混み合っていた。しかし明神館を過ぎると、明神岳の方向へのトレースは最早なかった。皆涸沢か槍ヶ岳に行ってしまったのだ。

heavy snow in Kamikochistart from KamikochiKamkikochi Tashiro bridgebreak at Myoujinkan lodge

森を抜けるとルンゼの中に入り膝までの新雪の中をラッセルしなければならなかった。

In the woods heading to Miyakawa colleaving the main trail to Miyojindakearriving at Miyakawa coltraversing Kamimiya valley

宮川のコルに着くと事態はまったく深刻になり始めた。ひょうたん池に到るには上宮川谷を渡って行かねばならない。新雪でいっぱいの険しい2つのルンゼが同じ谷で合流している。それはどうもまずい感じだった。しかし50センチの新雪といっても重くて湿った雪だ。縦走しなければならない場所で自分たちが雪崩の引き金を引く確率はほとんどないと見積もった。トモを先に行かせて、いざという時のために距離を取り、ラッセルするのを彼一人に任せた。しかしそれでもまだ少し心配だった。頭上をずっと見ないではいられなかった。その時だ、見たのは。それは我々のちょうど頭上の最初のルンゼの上の急なフェースから始まった。パウダースノーの雲が瞬時に巻き起こり、瞬く間に斜面を駆け降りてくるところだった。前に居て何も見えていないトモに大声で叫ぶ。雪崩!

二つのことが我々を救った。おそらく岩の多いフェースで雪崩はルンゼに達すると脇に散って勢いを失ったのだ。それから斜面には新雪があったのだが、重く湿った雪なので、力を失った雪崩の息吹きはすべてを離陸させるのに十分ではなかった。雪崩が我々のところに当たった時には、それはもはや大きな雹の雨ぐらいなものでしかなかった。

Caught in an avalanche on the way to Miyoujindake

岸壁に避難するために続けて行く。ひょうたん池まで行くには上宮川谷の上の二番目のルンゼを通らなければならない。そこは一番目のよりも険しく大きい。自分はもっと大きな二度目の雪崩にあうのではないかと心配だし、トモは翌日頂上に到るルートの中で登らなければならない岩場のコンディションを心配して、長いこと迷った後で引き返すことに決めた。

Heading back to Miyakawa col after an avalanche

しかしそれは簡単ではなかった。宮川のコルに戻ると、二つのパーティーが我々のトレースを登って同じルートを試みようとしていた。我々の雪崩の話が彼らには痛くもかゆくもないらしくて、そのままルートを続けて行った(ウェブの山行記録からみると結局撤退したみたい)。それで再び迷ってしまったのだが、最終的にはやはり自分たちの判断に従うことにして降りた。明神館の山小屋に戻ると、ほとんどのスキー客は引き返してきていて、高山へのアクセスは制限されているという事を知った。涸沢の山小屋のスタッフは涸沢のカールでの雪崩のリスクが強いため、横尾谷からのアクセスを閉鎖していた。明神岳を断念した後で涸沢から前穂高岳の北尾根に行くのも諦めなければならなかった。山小屋で熱いココアを飲みながらその日の二度目の会議をする。さてそれじゃあ何をする。面白くて、雪崩の危険がわずかな場所はどこだ?同じような話し合いをしていたのは我々だけではない。

limited mountain access due to avalanch risk

地図のすべての方向を見回して、コースの安全性を論証するのに1時間余りもかけたあと、我々の選択は定まった。上高地の谷の反対側、霞沢岳のすぐ手前に地図の上でK2と名付けられた頂がある。降り積もった雪、それに翌日の天気予報は快晴だから穂高連峰への眺めは素晴らしいはずだ。それに酸素ボンベなしで一日でK2に登ったと言える…バカバカしい。とにかく楽しくてやる気が出ることを見つけなければ。徳本峠小屋に登り、そこにK2登攀のためのベースキャンプを設置。翌朝は世界で2番目に高い頂のために早く出発した。簡単なコースで我慢した、というつもりだったのに明らかに我々はK2の難しさを甘く見ていたようだ。我々の前に出発した登山者たちを追い越すまでは彼らの作ったトレースを利用したのだが、50センチの新雪のため長く疲れるものだった。

heading to K1climbing K1 en route to Kasumisawadakeparties climbing K1 en route to Kasumisawadakeclimbing Kasumisawadake K1 - 1climbing Kasumisawadake K1 - 2between K1 and K2reaching Kasumisawadake

それに加えて天気は朝のうちの強風にもかかわらず完璧で一日中明神岳東稜が見えていた。

  • それで、もし昨日そのまま続けていたら?
  • この素晴らしい晴天の中、あの尾根を登っている頃だったかもしれない。
  • 雪に覆われた岩の多いフェースを超えることができただろうか?
  • いずれにしても、奥穂高岳に到るまでのすべての縦走はできなかったはずだ。
  • 同じ道を戻って来なければならなかったところで、暑さのため至るところのルンゼで雪崩が起きる
全てが我々の選択が正しかったと示しているにもかかわらず、新雪の積もった見事な尾根を眺めながら一日を過ごすのは一種の責め苦だった。

Miyojindake and Mae-HotakadakeMae-Hotakadake from the junction peakHotaka range on the way to Kasumisawadake

K1(霞沢岳の前の最初の頂)、K2と霞沢岳は、このようにあらゆる点で価値があった(テクニック面を除いては)。

しかし良い退却コースの選択だった。K1の頂からの穂高連峰の眺望そして焼岳と乗鞍岳は本当に壮大なもので、それにほとんど人もいなかったからだ。前日に降った雪で大きな青空のもと真冬の景色が広がっていた。このシーズンには珍しいコンディションだ。

Northern Alps panorama from K1 peakNorthern Alps panorama viewed from K2top of KasumisawadakeView to Norikuradake from Kasumisawadakeview over Norikuradake and YakedakeYakedake

K2からベースキャンプまで、すっかり堪能して、そして多くの新しいプロジェクトをもって降りてきた。来年には明神岳東稜と前穂高岳の北尾根に復習を果たしにまた戻るが、それだけでなくネットで探してみると上高地からまっすぐK1とK2の頂の方へ行く面白そうなコースがいくつも見つかった。美しい氷瀑もあり、明神岳のすぐ下のところ2260mという峰に続くルートも素晴らしいようだ。

結局のところやりたかったルートはどれもだめだったが、目をいっぱいに楽しませてカバンには新しいプロジェクトをいっぱいに詰めて帰ってきたのだった。

Sunset on Mae-HotakadakeSunrise on Mae-Hotakadake 1Sunrise on Mae-Hotakadake 2Sunrise on the Hotaka range

来年の冬はお楽しみだ!

Sécurité

お分かりの通り、明神岳東稜に到るコースには大きな雪崩の危険性がある。最も危ない地帯は宮川のコルからひょうたん池までの上宮川谷の縦走である。今年1月の初めにはこの場所で雪崩にさらわれて2人が命を落としている。しかし宮川のコルへと続くルンゼの登りも同様に危険だ。脇に留まること。パーティの参加者は、ビーコン、プロブとシャベルを携帯してください。もちろん、出発する前に、これらの道具を使って訓練してください。なお、これらの道具は雪崩を防ぐためのものではありません!これらの道具は雪崩に巻き込まれた人を助けるための道具です。したがって、雪の状況や雪崩の危険性を理解すること、最も安全なルートを確保すること、引き返すかどうかを判断することはとても重要です。

尾根に登るとセッピに注意すること。いくつかの地点でプロテクションを木の上に取り付けることができる。核心部は岩だらけの部分だ。尾根を遮断しているかのように見える最初の塊りは左側から迂回できる。そのあとにたどり着くフェースは右側のディエードルの中を通って登ることができる。いくつかのピートンと釘から引っ張る古いザイルがある。もしもの時の補足として小さなカムをいくつか持って行くこと。

徳本峠から霞沢岳に到るコースで、一番の危険は時折セッピがかなり大きいものになるということだ。K2の頂への登りは険しい。もし雪が硬いようならアイゼンが利くように気をつけてほしい。

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