コクシネルロックの記事

 カテゴリー: その他

ROCK&SNOW #077の9月号には、コクシネルロックについて二つの記事を載せていただいた。

二番目の記事の内容はこれ:

もともとクライミングに興味はなかった。求めていたのは登山とアドベンチャーだった。ハードなムーブをやってのけたり、グレードを次々突き抜けて進む醍醐味はわかるし、それを楽しんでもいるが、依然としてクライミングは自分にとって単にアドベンチャーの手段に過ぎない。

開拓はクライミングとアドベンチャーを一緒に楽しめる一つのやり方だ。新たな壁を見つけるのに何日もヤブ漕ぎしなければならない。その末に何も見つからないこともある。成功の確率は低い。その間、クライミングができないということも確かだ。

しかし、何かを見つけたならどうだろう? クライミングばかりでなく、その上に多大な努力と苦労をしてルートを発見し掃除して開拓する。この気分に勝るものがあるだろうか?

地図と衛星写真を眺めて時間を過ごした後で、2015年10月、枇杷窪沢に向かった。そこで一日目にキャッスルロックとコクシネルロック(Coccinelleはフランス語でテントウ虫を意味する)のふたつを見つけた。未踏の壁を発見すること自体は簡単だったが、そのあとのほうが想像したよりはるかに困難だった。まず、膨大な量のクリーニングが必要だった。ジャルディナジュ・エテルネル(Jardinage Eternel)では、約20mに渡って厚さ1cm以上のある苔を取り去った。このルートの両脇を見れば容易に想像がつくはずだ。始めたとき、苔の下にホールドがあるとは知らずにアンカーを打った。

また、長い時間を費やして壁の基部に石のベンチを作り、川の中には石を積み重ねて容易に渡れるようにし、トレイルにもマークを付けた。夏の間、トラトラトラ( Tratratra)のアンカーのすぐ上にあって邪魔になったスズメバチの巣を取り除いた。これは今まででいちばん怖くて、素早く済ませた仕事だった。開拓に取り掛かった当初、それなりの岩場に仕上げるまでにどれほどの作業をするはめになるのか、全く想像がつかなかったのだ。

ほぼ毎週末出かけて、まる一年かかった。長い時間を費やしたというだけでなく、レンタカー、ガソリン、高速料金、ボルトにチェーン、ケミカルアンカー用接着剤、その他諸々で出費もかさんだ。

しかし、最もハードだったのは、ほとんど“ひとり”でやったという点だ。当初、多くのクライマーが、このアドベンチャーに喜んで参加するだろうと考えたが、友人たちと共に行くアドベンチャーを思い描いていた私にとって意外だったのは、話に乗ってくる人はごく僅かで、結局のところほとんど孤独の旅となったことだ(そんななかでも手を貸してくれた青島賢一、鈴木絢子、吉仲広次にはとても感謝している。彼らの協力なしにはとても日本を発つ前にすべてを終えることはできなかっただろう)。

Mickey Schaeferがルートの開拓について言った。

「何日かが何週間かに変わり、それから何年かに変わってくうちに自分の熱意も醒めてゆくことが多い。やるべき仕事はのしかかり、果てしなく、そして孤独なものになってゆく。この時までに既に莫大なエネルギーを注いでしまったからゆっくりと先に進めていくしかない。自分のとったこの選択の奴隷になり果てたような気分だ。そして、自由になる道はただひとつ。終わらせるしかないのだ。根気よく続けるとこの道が見えてくる。そして、わくわくした気分が再び戻ってくる。本当にやり遂げることができるとわかる瞬間がくる。自分にとってこれはハイポイントに近く、登りに成功するかどうかなんて取るに足りないことに感じられる」

作業をより早く終わらせて、友達と一緒に岩場で遊ぶために難しいルートすべての初登を青島賢一に任せた。どのルートも開拓することに努力を注いだ(Tratratra以外)ので、ルートのすべてに特別な愛着を覚える。ポケモン・フック(Pokemon Hook)は、そのリストのトップだ。ムーブが複雑なだけでなく、自分がこれまで登ったなかでも一番ハードなルートだ。まるで見込みがなくて、日本を発つ前の最後のトライで成功した。

それからジャルディナジュ・エテルネルもとても気に入っている。このルートはまさに5つ星マークの逸品だと思う。簡単な下部の数メートルを除くと、最後までずっと5.10cくらいの強度が続くの40mほどのルートで、核心のムーブが一カ所だけ難しいだけという類のルートとは違う。自分の経験から言って、そんなルートは非常に珍しい。

アン・プチ・パ・スューラ・ルン(Un petit pas sur la Lune)もおもしろいと思う。こんな丸い形している岩はなかなか登る機械がないからだ。

岩場を設備するのがたいへんだったぶん、みんながクライミングを楽しんでくれたらと願っている。また、自分のウェブサイトのトポに遠慮なくコメントを付けてほしい。否定的なコメントも含めて。そこから自分が間違えた部分について学べるので、次回に生かすことができる。それから関心のある人のために、同じ谷のもうひとつの壁、キャッスルロックが開拓してもらうのを待っているということを記しておく。

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